本記事は、最近日本にも上陸したBlue Bottle Coffeeが行ったデザインスプリントについての翻訳記事である。(オリジナル)。デザインスプリントとは、Googleの投資部門Google Venturesが投資先に行うデザインワークショップ。Googleはオンラインでの売り上げが伸び悩むBLUE BOTTLE COFFEEと彼らのエージェンシーに対し、一週間のデザイン/プロトタイピングワークショップを行い、大きな成果を出した。以下、そのプロセスとなる。


BLUE BOTTLE COFFEE

私たちはブルーボトルコーヒーの新しいサイトデザインを手伝い、売り上げと滞在時間を伸ばしました。

ブルーボトルは美しいカフェと精緻なコーヒーにより、熱狂的なファンを生み出しました。しかし彼らのサイトは、そのブランドを表現しきれず、ウェブによる売り上げは全体利益のたった10%でした。

チャレンジ

ブルーボトルの品質とホスピタリティをウェブへと翻訳する。コーヒー購入のプロセスを啓蒙し、人々が自分好みのコーヒーを見つけられるよう助ける。

私たちがしたこと

デザイン作業を始める前に、コーヒーをウェブでどう購入するのかについて、コーヒー好き達にインタビューを行いました。その後、私たちはブルーボトルやダイナモ(デザインエージェンシー)とともに、1週間のデザインスプリントを行いました。スプリント中を通じ、私たちはゴールや機会、提案された実現可能なソリューションなどを洗い出し、それらを実際のカスタマーでテストしました。私たちは詳細なデザインを通じてブルーボトルとダイナモをコーチングし、新しいウェブサイトを作りました。

以下は、私たちがどのように行ったかです

スプリント開始前: コーヒー好きへのインタビュー

人々がオンラインでどのようにコーヒーを買うか、理解する必要がありました。そのためリサーチと潜在的なブルーボトル顧客へのヒアリングを行いました。ヒアリングにより、私たちはデザインの決定が現実に即しつづけるよう、「コーヒー購入者のファンネル(抽出機)」というチャートを作りました。

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訳註:コーヒー購入者のファンネル

  • ここはどこ?
  • このサイトの人はコーヒーに詳しいの?
  • 私好みのものは何かある?
  • これはどんな味?
  • これは私のコーヒーの作り方/飲み方にあってるの?
  • 詳細は? ストーリーは?

1日目: オンラインのコーヒー購入者を理解する

私たちはリサーチによる発見と、ブルーボトルチームの持つ「オンラインで人々はどうコーヒーを買うのか」という知見を結びつけました。第1日目において、私たちはアイデアと機会をポストイットに書きとめ、良いアイデアが上にくるように整理しました。これにより、プロジェクトを始めるにあたって、共通した基盤を全員が持てるようになりました。

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私たちは、ベストのアイデアと機会を分類しソートしました。

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人々がどのようにブルーボトルのサイトとインタラクションするか、Jakeはいくつかのストーリーについてスケッチを描きました。

2日目: 可能なソリューションをスケッチする

1日目に学んだ全ての事柄から、可能なソリューションをスケッチします。私たちは個々のユーザーのストーリーに1つづつ目を通し、人々が本当にコーヒーを買う方法にフィットしたアイデアを生み出しました。

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3日目: プロトタイプを作るソリューションを決める

プロトタイプが様々な可能性を反映しているのを確かめつつ、スケッチから良いアイデアを展開し書き出します。

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デザインするユーザーエクスペリエンスに対して、巨大なストーリーボードを作成しました。プロトタイプやユーザーインタビューのシナリオを作るとき、このストーリーボードは素早い意思決定の助けとなります。

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4日目: プロトタイピング

私たちはキーノートを使って、3つの本物風でクリック可能なプロトタイプを作成しました。それぞれのプロトタイプは、コーヒー購入とビジュアルについての、様々なアプローチをテストするために使われました。

(訳注:ブルーボトルのスプリントでは、ストーリー重視、発見重視、バーチャル店舗の3種類のアプローチを行った言われる)

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(訳注: コーヒー販売よりもストーリーテリングを優先した案)

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(訳注: 商品の陳列を発見に特化した案)

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(訳注: スキューモフィズム的なバーチャルストア案)

5日目: 実ユーザーでテストする

5人のコーヒー好きをオフィスに集め、プロトタイプを試してもらいました。観察をホワイトボードに書く事で、発見をリアルタイムにまとめあげました。

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スプリント後: ブルーボトルとダイナモへのコーチング

ブルーボトルやダイナモと2週間に1度ミーティングを持ち、デザインの細部と開発へのコーチングを手助けしました。
フィードバックやアドバイスに加えて、各ページの最重要コンテンツをまとめて可視化したワイヤーフレームを作成しました。

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新しいサイトは2013年6月にラウンチし、売り上げと滞在時間は2倍に増加しました。

プロジェクトについてもっと読んでみたい場合、NEXT WEBでも掲載されています。

以上、Google VenturesよりBLUE BOTTLE COFFEEより翻。訳:深津貴之


世間一般でグーグルはテクノロジー主導の企業と思われている。しかし、昨今はその姿勢がどうも大きく変わりつつある。2014年のGoogle I/Oで発表された新しいAndroidとマテリアルデザインなどは、その最たる例である。 おそらくはAppleのデザイン指向に対抗すべく、社内にIDEOやfrogなどデザインファーム出身者を集めつつあるのではないかと思われる。

THE GUILDにおいても、ワークショップやコンサルティングなどは行われるため、グーグル式のデザインスプリントは今後もしばらくトラックしていこうと思う。誤字脱字、翻訳ミス等は@fladdictまで